2008年10月09日

あなたのおそばに。

あなたのおそばに。

男女別の牢屋に収監され、ロイドは時を待っていた。
昔の同僚、ラクシャータと他愛もない話をしつつ。
それはセシルもニーナも咲世子も同じだった。
「僕も一緒に行きたかったな」
ロイドが呟く。
「なぁに?公開処刑されたかったの?変わってるわねぇ」
ラクシャータの言葉に、苦笑が浮かぶ。
『彼』の真意を理解している存在がどのくらいいるのだろうか。
「僕はね、ルルーシュ陛下に背いてはいないんだよ」
微笑みながらロイドが語る。
「それがあの方の願い、そして命令だった。我々は明日を迎えろと」
「あん?」
いつになく真剣な口調にラクシャータが怪訝な顔をする。
キセルを持っていたらクルクル回していただろう。
「あの方の逝く道を見届けたかった」
何を言いだすのかとラクシャータが声を出す前に、セシルに引き継がれる。
「あの方は、いえ、あの方々はお優しいから。私達に見せたくなかったんですよ」
「ルルーシュは優しい。ずっと知ってた。私が最後まで許さないように。見てしまったら許してしまうから」
ニーナの瞳からは涙が零れている。
「何を言ってるの、アンタたち」
ラクシャータは何か、自分の知らないものを見逃している気がした。
「そろそろです」
ずっと壁際でじっとしていた咲世子が正座をし、居住まいを正す。
「え?」
ラクシャータが彼女の方を振り向く前に。
「我が主はあなた様、ただお一人。私が膝を折り、忠誠を誓ったのは陛下だけ。我が忠誠は永遠にあなた様だけに」
ロイドが厳かに唱える。
「せめて陛下が安らかに逝けますように」
セシルが胸の前で手を合わせ、祈る。
その瞳にはやはり涙。
「さようなら、ルルーシュ。そしてありがとう」
ニーナも同じポーズで祈る。
「ご安心下さい。ナナリー様は私が命に替えましてもお守りいたします」
最後に咲世子が瞳を閉じて誓う。
「なに?なんなの?それじゃ、まるで・・・・」
ラクシャータは言葉を続けることが出来ない。
それでは、まるで、彼が死ぬようではないか。
今や世界の独裁者、敵などいない彼が。
自分は何か見落としてないか?
黒の騎士団にいた彼はどんな人物だった?
そう思って、彼の本質をまったく知らなかったことに気付く。
そのことに気付いたと同時に、薄暗い部屋のドアが開け放たれる。
なだれ込んでくる人、人、人。
それはブリタニア軍人ではなく、民間人だ。
「あなた方は解放される!」
「ルルーシュは倒された!」
「さあ、ここから出て!」
ロイドが、セシルが、ニーナが、咲世子が顔を上げる。
それは何かを決意した顔で。
「なんですって?ルルーシュが何?」
人びとが口々に叫ぶので、何を言っているのか聞き取れない。
ラクシャータは苛立つ。
「ゼロが現れて、ルルーシュを倒したんですよ!」
「ゼロがルルーシュを殺してくれた!」
「ゼロは我々の希望!」
「ゼロ、万歳!」
人びとが口々にゼロを讃える。
それを聞いて、ラクシャータは混乱する。
ゼロはルルーシュだ。
ルルーシュがゼロだ。
ゼロがルルーシュを討つなんて出来るはずがない。
人びとが集まるこのタイミングに・・・・。
ハッとして、同じく解放されたロイドを見る。
彼女の視線に気付いたロイドは人の悪い笑みを浮かべる。
「あれぇ?君は知ってたでしょ?ゼロは嘘つきだって。でもね、我が主は稀代の詐欺師なんだよ」
ロイドが誇らしげに告げる。
それが全ての答えだった。
「そんな・・・・」
ラクシャータは立ちつくす。
その間にも虜囚は次々と解放され、人の波が彼らを飲み込んでいく。
「我が主、今、参ります」
ロイドの声で聞こえたと思い、彼を見た。
すでにそこに姿はなく、扉の方にその背中が見える。
その後ろにセシル、ニーナ、咲世子が続いている。
ロイドは楽しそうに、彼女を振り返ることなく歩き続ける。
ラクシャータは喜ぶ人々の中でただ、立ちつくす事しかできなかった。

あなたのおそばに。
来るなとは言われませんでしたから。




私なりに最終回後の妄想。
今更ですけど・・・。
基本、ロイルルですから(笑)
最終回後妄想は続きます。
posted by 日高櫻 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | コードギアス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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